あたしはゴクリと唾を飲み込んだ。


「あたしはさ……京一郎の事が好きなんだよね」


「え……?」


あたしの言葉に、今度はこの美が目を見開いた。


「本当に?」


「うん」


あたしは間髪入れずに頷いた。


正直京一郎の性格などはどうでもよかった。


あたしが欲しいのは京一郎の頭脳と、あのノートだけだ。


「明彦の事が好きなら、京一郎とは別れるんでしょ?」


あたしがそう聞くと、この美は大きく頷いた。


「それなら、あたしはこの美と明彦がうまく行くように手伝ってあげる」


「本当に!?」


「うん。そのかわり、この美はあたしと京一郎がうまく行くように手伝って?」


「もちろん!」


この美があたしの提案に頷く。


ライバルがこんな形で仲間になるとは意外だった。


だけど、これなら京一郎と付き合う事もグッと現実に近づいた。


そう思い、あたしはにやりと笑ったのだった。