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新しくできた美容院はさすがに綺麗だった。


3席だけの狭い店内だけど、いたる場所に綺麗な花が飾られていて見ているだけで楽しめる。


スタッフの人たちも常に笑顔で、会話も弾んだ。


ショートカットになった自分を見てあたしは上機嫌にほほ笑んだ。


これなら花梨にもおすすめできそうだ。


「また来てくださいね」


そう言う女性スタッフに見送られてあたしは店を出た。


髪を切って頭が軽くなったおかげで明彦へと苛立ちも半減していた。


コンビニに寄ってクレームを入れてやろうかと思っていたけれど、あたしはそのまま家へと戻ったのだった。


「おかえり知世。あら、素敵になったじゃない!!」


髪を切ったあたしを見てお母さんがすかさずそう言って来た。


「結構いいお店だったよ」


「そうみたいね。お母さんも髪の毛を染めに行ってみようかしら」


あたしの髪型をジロジロと見ながらそう言うお母さん。


お母さんは定期的に白髪染めをしているから、ちょうどいいかもしれない。


「人気が出ると予約が取れなくなるかもしれないから、早めに行った方がいいよ」


あたしはお母さんにそう声をかけて、部屋へと向かったのだった。