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すでにホームルームが始まっている時間になっていたけれど、あたしと明彦は屋上へ来ていた。


ついこの前ここで果歩をいじめたことを思い出す。


「話って……?」


「あたしを悪者に仕立て上げたでしょ」


明彦を睨み付けながらそう言う。


「仕立て上げたなんて……! 知世がいきなり別れ話を切り出すからだろ!?」


「説明したって明彦はどうせ納得してくれないでしょ? もう好きじゃないんだから、どうしようもないじゃん!!」


怒鳴り返すと、明彦は目を見開いてあたしを見た。


明彦はあたしのこんな姿を知らない。


「知世……本当に、俺のこともう好きじゃないのか……?」


明彦の声が弱弱しくなる。


「あたし、京一郎の事が好きになった」


ハッキリとそう言うと、明彦は「うそだろ……?」と、視線を空中へと泳がせた。


「本当だよ。あたし今京一郎の事が好き」


「でも、あいつにはこの美がいるし」


「そんなの関係ない。彼女がいても、好きな気持ちは止められないでしょ?」


昔、あたしと明彦がそうだったように。