「え、えっと…」

どうしよう、断りたいけど理由が見つからない。

まだ先輩に誘われたわけでもないから。

「おい、浜野」

その時、浜野君の後ろで低い声が聞こえた。

「か、会長?!」

浜野君は、震えながら先輩に振り返る。

「さっき先生が呼んでいたぞ」

「は、はい!教えてくれてありがとうございます!」

浜野君は、急いで足って行ってしまった。

「たく…」

「先輩?」

「会長も大変ですねぇ、モテル彼女を持つと」

「そうだな、変な虫どもが寄ってくる」

む、虫って…。

先輩は、眼鏡を取ると深く溜め息をつく。

「驚かせてごめんね永久、浜野が永久と話してるの見たらちょっとイラッと来ちゃって」

いや、大分怒っているように見えたけど。

「それで、永久に申し込みにきたよ」

「え?」

先輩は、私の手をつかむと、手の甲に口づけをしてくれた。

「せ、先輩?!こ、ここ食堂ですよ!」

「大丈夫だよ。誰も僕が会長だなんて気づいてないから」

「で、でも…」

ドキドキして、心臓が破裂しそうだよ!

「永久…僕の小さなお姫様。僕とダンスパーティに参加してくれませんか?」

先輩は、まっすぐな瞳で私を見つめてくる。

「はい、喜んで」

「ラブラブなことで…」

「ところで永久、時夜は何かして来たかな?」

「え?」

先輩は、食堂の中を見回す。