あの出来事から一ヶ月が経って、春の季節は終わりに近づいていた。

あの日以来から、時夜君は特に何もしてこなかった。

というよりも……。

「すまなかった、ちょっとやりすぎた」

って、翌日には謝ってきてくれた。

でもーー。

「だけど、俺はお前を監視させてもらう」

って言われちゃって。

そして、今は授業中。

時夜君は、突っ伏して寝ている。

(よく寝るなぁ…)

寝ててよく特進科に入れたよね。

私の隣に座っている先輩は、真面目に授業を受けている。

私たちは、あの日を境に付き合い始めた。

恥ずかしくてまだ架純には言ってないけど。

私の視線に気づいた先輩は、私に笑って返してくれた。

(か、可愛い…)

思わず胸がキュンとなってしまった。

先輩は、空いている方の手を私に差し出す。

なんだろう?

先輩は、口パクで「手を握って」と言ってくれて、私は先輩の手を握る。

先生に見つからないようにーーー。

お昼休みになって、私は架純と食堂に来ていた。

「それで、話ってなに?」

「えっとね」

今日こそは、架純に言うと決めていた。

「えっと、先輩とお付き合いすることになりました」

「うん、知ってる」

「え?えええ!!」

な、何で知ってるの?!

「知らなかったの?だってさ、授業中手なんて繋いだり、二人仲良く話してれば分かるよ」

そ、そんなに分かりやすかったかな?