「改めまして…久しぶり、僕の小さなお姫様」

「先輩!」

やっぱり先輩だったんだ。あの時の王子様は。

私の中で途切れていた記憶の欠片が戻る。

『ねぇ、貴女の名前は?』

『僕の名前は、煌時雨』

「先輩、私は…」

ずっと想って来ていた気持ちを言うなら今だと思った。

「私は、先輩が好きです!」

「僕もだよ、永久」

私たちは、夕日が学園を照らすなか、再びキスを交わした。

その頃――

時夜君は、音楽室のピアノに触れていた。

「あんなやつの為に、“明莉”は死んだのか…!」

時夜君は、被っていたフードをおろすと、夕日を睨み付ける。

「本当に眩しい世界だな、あんたの周りは…」

(俺とは、正反対の世界だ…)