「僕は、永久が大好きなんだ。だけど、君の涙の止めかたが分からない。でも、こんなことをしたのは――」

先輩は、もう一度唇を重ねてくれた。

「時夜に、永久のキスが奪われたのが嫌だったから」

先輩の頬は、ちょっとだけ赤く染まっていた。

「私は、先輩とのキス嫌じゃありません。だって、キスのおかげで涙が止まりましたから」

「そう言ってもらえると、僕も嬉しいよ」

先輩の腕のなか、温かい。

先輩の温もりを感じる。

「僕と時夜は、あまり仲が良くなくてね、あいつは僕に、好きな子ができることを快く思ってないんだ」

「どうしてですか?」

「それは…」

先輩は、そこから先のことを話すのをためらっていた。

私は、先輩の頬に手を当てる。

「永久?」

「そこから先は、言わなくていいです。先輩が話してくれるまで待ちます」

無理には聞かない。

先輩が話してくるまで、私は待っているから。

「お姫様に慰められるようじゃ、王子失格だな…」

「王子?」

「僕の方から迎えに行くとか言っておきながら、君の方から僕を迎えに来てくれた」

「じゃぁ、先輩は…」

私は、再びキラキラの世界へと足を踏み込む。