「時夜!!!!」

先輩は、拳に力を込めると、時夜君を殴った。

「時夜…、永久に何をしているんだ!!」

時夜君は、殴られた頬をさすりながら立ち上がる。

「なにって、そいつのキスを奪っただけだ。あとは、そんな姿を見れば、ある程度は予想できるだろ?」

「!」

先輩は、私の方へと振りかえる。

「先輩…」

私は、涙目で先輩を見つめる。

(先輩に…、見られたくなかった)

こんな姿を見られたら……。

でも、先輩は優しく私を抱き締めてくれた。

「!」

「ごめん。もっと早く来れたら」

先輩は、なんでそんなに優しいんですか…。

「クソ兄貴、まだそんなやつを好きでいるのかよ」

「言っただろ。僕は、永久以外の女の子は好きにならない、お前が何と言おうと、僕は永久が好きなことには変わらない!!」

私は、先輩の言葉が嬉しかった。

私は、先輩の掴んでいた手に力をこめる。

時夜君は、それ以上なにも言わず、階段を降りて行ってしまった。

「永久、大丈夫か?」

「はい…、私は大丈夫です」

でも、先輩の顔は見れない。

今の私の顔なんて、見せたくなかった。

「顔を見せてくれないか?じゃないと、安心できない…」

私は、先輩に顔を見られまいとそっぽを向く。

「ごめん、永久」

「えっ?!」

突然先輩は、私を抱き上げると再び階段を上がる。