「ついて来るな、お前に話すことなんてない」

「納得いかないよ、先輩を好きになるなとか、先輩が私とつりあわないとか、ちゃんと理由を教えてよ!」

「うるせぇなぁ!!!!」

「きゃっ!!」

時夜君は、私の手首を掴むと、私の体を壁に押し当てる。

「その意味を知ってお前はどうする!同情でもするのかよ?!!」

「違う、私は先輩のことを知りたい!知ってもっと好きになりたい!!」

これは、私の本音だった。

嘘なんて言っていない。

「…。お前も、あいつと同じだ…」

「あいつ?」

あいつって、誰…?

「俺は、お前が兄貴を諦める行動をとる」

時夜君の恨みのこもった瞳を見た私は、体に鳥肌がたった。

「お前の初めては、俺がもらう」

「は、初めてって…」

「こういうことだ…」

時夜君は、私に顔を近づけると、私にキスをしてきた。

「ん!!」

な、何でこんなことするの?!

私は、急いで時夜君を突き飛ばす。

そして、唇に触れる。

「これで、お前の初めてのキスは、俺がもらった」

私の目には、涙がたまっていた。

「な、んで…。何でこんなことするの?!!」

「言っただろ、お前が兄貴を嫌うように、俺は行動するってな」

「だからって…」

だからキスをするなんて、酷すぎるよ。