僕の小さなお姫様

(では先輩、また明日)

私は、静かに教室を出た。

エレベーターを待っているとき、誰かが隣に来るのに気づいた。

「あ、時夜君」

「なんだ…、お前か」

お、お前呼ばわり…。

「なぁ、お前さ」

「なに?」

「あのクソ兄貴のこと、好きなのか?」

「……」

そんなことを聞かれると思ってなかったから、私の顔はボッと赤くなった。

「やっぱりな」

「な、何で分かったの?」

「なんとなく、お前が兄貴に接する態度で分かる」

そ、そんなもので分かるの?

でも、授業とか寝ているのに、いつ私たちを見ていたんだろう?

時夜君って、意外と周り見ているんだなぁ。

「でも、一つ言っておく」

「え?」

「兄貴は、好きになるな」

「…はい?」

今、先輩を好きになるなって言わなかった?

「私じゃ、先輩とつりあわないってこと?」

「そうじゃない、逆だ」

「逆?」

「兄貴が、お前とつりあわないんだよ」

「どういうこと?」

「……」

時夜君は、私をじっと見たあと、階段へと向かう。

「ちょ、ちょっと待って!!」

私は、時夜君の後を追いかける。