先輩は、後ろから私を抱き締める。

「あ、あの先輩?」

やばい、胸がドキドキする。

「僕わね、永久以外の女の子たちには興味ないんだ。それに、永久に近づく男たちはみんな嫌いだからね」

「あー…、だからさっきチョークを」

「ど、どういうこと?」

時夜君に投げつけたチョークに、何か意味があるのかな?

「でも、永久の友達は別だよ」

「それは、ありがとうございます」

なんか、二人の話しについていけないようなぁ…。

「じゃぁ、案内するよ」

「は、はい」

あとで架純に聞けばいっか。

先輩に学園の中を案内され、この学園の設備に私は驚く。

「ここが音楽室」

「ここがダンスルーム」

「ここは食堂」

「ここは競技場」

などなど、いろんな設備が揃っていた。

「す、すごい広いですね」

「母さんが全部一人で設計したんだ」

そうだった、この学園の理事長は先輩のお母さんだった。

「これだけ設備が整っていたら、何でもできそうですね」

架純は、興味津々であちこち見ていた。

「そうなんだ。それに、近々ダンスパーティーを開こうと思っているんだ」

「「ダンスパーティー?」」

「新入生歓迎会だよ。もちろん特進科のクラスの人たちには、特別な場所で特別におもてなしをするつもり」

なんか、特進科の人たちだけ優遇されているような。

「他の人たちは、ダンスパーティーに招待しないんですか?」

「もちろん、全員招待するつもりだよ」

それを聞いて、私は安心する。

特進科のクラスは、他の人たちにとっては、憧れのクラスだ。

それに、将来も約束される。

(私は別に、やることとか決まっていないけど)

私は、先輩の顔を見つめる。

(できるなら、先輩の傍に居たいなぁ)

なんて、恥ずかしくて言えないけど。