僕の小さなお姫様

「ごめんね、驚かして」

会長は、眼鏡をとり、少しだけ頭を左右に降った。

「し、時雨先輩?!」

目の前に居たのは、会長ではなく、桜の木の下で会った先輩だった。

「ど、どういうことですか?」

「まぁ、僕が会長ってこと」

「で、でも…」

見た目とか雰囲気が違いすぎる。

「会長をやっているときの僕は、俺キャラなんだ。本来はこっち」

「は、はぁ…」

「でも、君がまたここに来てくれるなんて、思ってなかった」

「えっ?」

先輩は、後ろにある桜の木を見上げる。

「ここに来たら、先輩に会えると思ったんです」

「僕に会えるって?」

素直に出た言葉だけど、よくよく考えたら、恥ずかしいことさらりと言ったよね!

「い、いえ!何でもないです!今のは、忘れてください!」

「僕も同じだよ」

「えっ?」

先輩は、私の手を握ってくれた。

「僕も、ここに来れば君に会えると思った」

その言葉が、私の胸に響く。

「あの、先輩はーー」

私は、先輩に聞きたいことがあった。

「先輩は、昔私と会ったことありませんか?」

もしかしたら、先輩はあの男の子なのかもしれない。

私に初めてキラキラの世界を見せてくれた子。

だって、先輩と手を握っていると、周りがキラキラと輝いて見えるから。