僕の小さなお姫様

クラスわけを見て、教室に入った私だけど、私の周りには既にグループがいくつかできていた。

「はは…。予想通り」

でも、もうこんなのには慣れっ子だ。

私に声をかけてくる人なんて一人も――。

「ねぇ。あんた何処から来たんだ?」

「え…」

一人も…、居ないわけで…。

隣から声がして、振り返る。

「えっと…」

「初めまして、私は代園架純(だいえんかすみ)だ。いやー、知り合いが一人も居なくてさ、自分の隣が女の子だったらいいなぁって思っていたんだ」

「は、はぁ…」

代園架純、私より身長が高い…。

ちょっと羨ましかったりする。

「それで、あんたの名前は?」

「あ、えっとごめんなさい。いきなり話しかけられたから、驚いて…」

「それは、すまないことをした」

「いや、それは全然いいよ。私は、稲美永久。私も代園さんと同じく知り合いが誰も居なくて」

知り合いが一人も居なくて、声なんてかけられないと思っていたけど。

この代園さんとは、友達になれるかな?

「そっかぁ、じゃぁ私たちは同じだ。三年間よろしく」

「うん、よろしく」

一応、これで友達ってことでいいのかな?

ずっと友達という感覚がなかったから、友達という感覚が分からない。

「新入生の人たちは、体育館に今すぐ言ってください」

教室に先生らしき人が入ってきて、私たちに呼びかけた。