私は、八歳のころよく一人で遊んでいた。

お父さんの仕事の都合で、ずっと引っ越しばかりしていて、人見知りになってしまった。

だから、友達は一人もいなかった。

だけど、私は桜が綺麗に見えるという遊園地に、家族揃って遊びに来ていた。

久しぶりにお母さんとお父さんとお出かけが出来た私は、嬉しくてついはしゃいでしまっていた。

「パパ!次あれ!」

私は、目の前のメリーゴーランドを指差す。

「待ちなさい永久、そう急ぐなって」

「ママも!」

「もぅ、永久ったら」

その時、お父さんとお母さんの携帯が同時に鳴り出した。

「俺だ…。え、今すぐにか?!」

「もしもし、はい…。え、今ですか!」

私は、その電話が何だったのかすぐにわかった。

「ごめんな永久、仕事が入っちゃって」

「そっか…」

「永久ごめんなさいね。すぐに迎えの車を呼ぶから」

「うん」

お母さんは、家に電話をして車を呼ぶ手配をしてくれた。

「じゃぁね永久、夜には会えると思うから」

「うん」

「また、今度いっぱい遊ぼうな」

「うん!」

私は、泣きそうな顔を見せず笑っていた。

泣いたら、二人に迷惑をかけてしまうから。