「俺はこんな世界、くそだと思うけどね。」
「なんで?」
「売れるために偽ってばっかだからな。
ファンだって所詮俺の本性は知らないわけだし。
やめられるんならすぐやめてーよ。
でも、やめても結局一般人にはなれないだろ。
やめても絶対追いかけられる。
記者にも、ファンにも。
俺はガキの頃からこの世界にいるから
普通に生きてみたかった。」
……………そっか。
やっぱり誰にでも苦悩はあるんだな。
「でもさ、偽物でも
貴也の笑顔で幸せになれる人がいるんだから
それはすごいことじゃん。
私の友達だって昨日すごい幸せそうだったし。」
私がそういうと貴也は黙った。
まさか貴也とこんな話するなんてね。
昨日まで言い合ってたのに。
ちょっと、見直したよ。


