居場所をください。




「あれ、貴也は?」


「布団を私の部屋に運んでくれてる。」


「いいね、同じマンション。

部屋近いの?」


「んー、そうでもないけど

でもエレベーター乗ればすぐだから

行き来は大変じゃないよ。」


「美鈴ちゃんはデビューしたばっかりなのに

こんなマンション住めていいね。」


「はは、そうだね。」


まぁ実際は社長が払ってくれてるんだけどね。


「俺なんかさー、2年前にこの世界入ったのに

やっとひとり暮らしできるようになって

これからってときにあんな写真出回って。

社長には怒られるし処分ありだし

もー最悪。」


「……………その女の子とまた会うの?」


「会いたくないね。

俺可愛い子は好きだけど

本気で好きになったりしねーし。

今は仕事の方が大事。

でもアパート来られたり

撮影現場近くまで来られたり

噂になるようなこと散々されてきたから

またそんなことあったらって思うと不安だけどね。」


「そっか…。」


女の子の方から、か。


ちょっと営業妨害だよね。

恋愛禁止ならさ…。


「どうしたら来なくなるんかな~。」


「言ってもダメなの?」


「うん。」


「マネージャーさんは?」


「俺んとこの事務所は

うるさいわりにあんまガードないから。

使えないでしょ。

美鈴ちゃんとこはそういうのしっかりしてるし

うらやましいよ。」


そっかぁ…。