「なんで逃げんの?」
「だって……………」
「なんだよ。はっきり言えよ。」
「……………なんで貴也がそんな怒ってるわけ?
意味わかんないんだけど。」
「お前がなに考えてんだかわかんねーから。
なんで急に帰るんだよ。」
「……………貴也の気持ちがわかんない。
結局、さっきみたいな子がいいんでしょ?
私とは真逆な。」
「は?」
「私はどうせ魅力ないよ。
どうせ欲情しない体ですよ。
……………貴也の気持ちがよくわかんなくなる。
好きとか言ってくれるわけじゃないし
キスもしてこないし
結局ああいう子がいいなら
彼女として自信なくなるの。」
私は下を向いたまま言った。
「もういいでしょ、離し「ばかじゃねーの?」
「……………は?」
「俺はなんとも思ってねーやつのために
飯作ったりしねーよ。
追いかけてきたりもしねーよ。
……………お前だからだろ。
好きじゃなかったらしねーよ。
だから帰るとか言うなよ。」
「……………ごめん。」
「ちゃんと好きだから。
美鈴のこと。」
「……………うん。」
「…ごめんな。
部屋、戻ってこいよ。」
「うん。」
私は貴也に手を掴まれたまま
部屋へ戻った。


