居場所をください。




手を握って歩く私たち。


「こんな風に歩くのも初めてだね。」


「試写会のあと歩いたじゃん。」


「数分だけじゃん。」


「いや、それでも1回だろ。」


「まぁそうだけどさ。」


「忘れんなよ。」


「はーい。」


貴也、ほんとベタ惚れだよね。

なんとなくそんな気がした。



気がつけば施設は通りすぎ

一高までの道のり。


「久しぶりだ~。

通学路だよ。」


「へー、この道歩いてたんだ。」


「去年の今ごろは制服着て歩いてたよ。」


「へー、いいな。

美鈴の制服姿とか見たことねーしな。」


「なんかちょっと変態みたい。」


「は?俺が?まじ勘弁。」


「はは、それはすみませんでした。」