居場所をください。




それからも俺らの質問はされたものの

記憶力もなく、たいした思い出もなく

家でしか会ってない俺らはろくな答えが出せず

そのまま質疑応答が終わった。


「お前らぐだぐだだな。」


長曽我部さんは呆れモード。


「だってデートとかしたことないし。

会うのは家か長曽我部さんちか

喫茶店か会社か撮影現場、だもんね?」


「だな。

なんにも答えられないですよ。」


「まぁ普通の高校生みたいなつきあい方はできないか…」


そうそう。


「それより貴也とご飯行ける?」


「いいよ。二人でいってこい。

俺仕事入ったし。」


「え、二人でいいんですか?」


「なんで?べつにいいけど。

公表してるし。


美鈴はこのあと打ち合わせ

貴也は撮影だから遅れんなよ。」


「はい。」


やべー。二人でとか初めてじゃん。

付き合い初めてから喫茶店以外で、だけど。


「美鈴、どこ行く?」


「ラーメン食べたい。」


「はぁ?ラーメン?」


普通デートじゃ選ばねーだろ。


「ま、いっか。

行くぞ。」


俺らは会場を出て歩いてラーメン屋に向かった。