それからは美鈴が佐藤さんと離れてくれたおかげで

やっと集中して仕事ができた。


「貴也くん、イライラ加減がすごくよかったよー!」


「ありがとうございます。」


そりゃいらいらしてたからな。

はー、俺が恋愛ごときに翻弄されるなんてな。

何年この仕事やってんだよ、俺。

しっかりしろよな。



それから撮影を終えて着替えて

美鈴のもとへ向かった。


愛翔はまだ撮影。

おかげで美鈴をとられる心配もないし。


「あ、貴也!お疲れさま。」


そうやって俺に笑顔で駆け寄ってくる美鈴は

なんだか家で留守番してた子犬みたいで

可愛くて仕方ない。


「そんな表情してるとまた長曽我部さんに怒られるけど?」


「……………そうでした。」


知り合った頃とは全く違い

付き合いだしてからさらに人間らしくなった美鈴。


素直すぎる反応が面白い。


「帰るか。」


「うん!」


そういう俺も結構笑うようになった。

自覚があるくらいな。