居場所をください。



「まぁそうですよねー。

僕も女性の友人と食事や買い物は行きますもん。」


おお、拾ってくれた。助かった。

長曽我部さん怖いもん。


「ですよね?

私と大谷くんもそういう関係です。」


「わかりました~。

もうひとつ、施設出身だと話題ですが…」


「あ、それは事実です。

私は生まれてすぐ施設に預けられました。

だから私には3人、親がいます。

産んでくれた母と、支えてくれる父と

育ててくれた母。

だから私は幸せなんです。」


「幸せ、ですか?」


「はい。

私は両親の事情を理解したので。


でも、あそこは私みたいな子ばかりじゃないです。

両親が亡くなり、悲しい思いをしている子

大人の勝手な都合で置いていかれる子

そういう子ばかりなんです。

みんな行き場のない迷子なんです。


だから、施設だからと偏見な目は向けないでほしいです。

みんな偏見があるから、私が施設出身ということだけでこんなにも反応する。


大人の都合で孤独になっただけなのに…。

どうしてそこまで反応したのか、私が聞きたいくらいです。」


私が強くそういうとスタジオは静まり返った。


「……………私がかわいそうなんじゃないんです。

みんなが幸せなんです。

幸せを当たり前にするから、私たちがかわいそうに見えるんです。

私は血の繋がった両親とは暮らせていませんけど…

それでも私は幸せです。


施設で育ったからとか関係ないです。

むしろ、些細なことでも幸せを感じることができる私は

幸福者だと思います。」