翌日ー
「施設出ってやつ、すげー広まってる。」
会社につくなり、長曽我部さんが言った。
「……………それっていいの?」
「美鈴次第。」
「私はいいよ。
でもさ、全国にはそういう子
たくさんいるわけでしょ?
私をバカにすることで
全国の施設の子たちが傷ついたりするかも。
それだけはやだな。」
「……………そうだな。」
「だから私、はっきり言おうかな。」
「なにを?」
「施設出身だってことを
後ろめたいなんて思ってないって。
だけど、親がいない辛さとか
そういうことは伝えたい。
一人でも親に捨てられないように。
親が自分の勝手で施設に置いてく人
すごく多いんだもん。」
「いいかもな。」
「ほんと?いいの?」
「いいよ。
間違ってないだろ。」
「……………うん、そうだね。」
「じゃ、機会は俺が作るな。」
「うん。」


