居場所をください。




「とりあえず、美鈴の施設育ちは

事務所公認でいいのか?」


「仕事の話をするときは敬語だろ。」


「はいはい、わかりました。

で、どうするんですか?」


「そうだな。美鈴がいいなら。」


「私はいいですよ。

後ろめたいなんて思っていませんし。」


「じゃあ決まりだな。」


「あとは隼也との噂だな…。」


「藍子が余計なこと言ったから

ヒートアップしそう。」


「まぁでもそのうち消えるだろ。

事務所もきっぱり否定してるし。」


「そうだといいけど。

というか私仕事は?」


「……………そろそろ飯食わねーと

間に合わねーな。


次は雑誌のインタビューだし。

こんな時に…。」


「はは、いいじゃん。

事実だけ話してきます!


じゃあ社長。

私は仕事があるので。」


「あ、待って。


……………これ。父親として。」


「クレジットカード?」


「今まであげられなかったお小遣い代わりだな。

上限は10万だけど16歳なら十分だろ。」


「……………給料もらってるけど…。」


「それは社長として。

働いてるんだから給料渡すのは当然だろう。

こっちは親として。

いつか渡そうと思っていたんだ。」


「……………じゃあありがたく使わせていただきます。」


「美鈴、行こう。

失礼します。」


長曽我部さんが頭を下げ

つられて私も頭を下げて社長室を出た。