居場所をください。



「……………でも、

ちゃんと迎えに来てくれたから…。

兄が、ちゃんと迎えに来てくれたから……」


「美鈴………。」


社長が私を抱き締めた。

きっとこうやって抱き締められたのは初めてだろう。


「すまなかった。」


「……………ほんとは

迎えに来たら一発殴ってやろうと思ってた。

でも、もうチャラだね。

私をここまでしてくれたのは二人だもん。」


私は泣きながら笑った。


「だから、もう気にしないでください。」


「……………わかった。

ありがとう。」


「………私の部屋の家賃や光熱費だって

半額って話なのに私の給料からは引かれてない。

社長でしょ?私が娘と知ってたから?」


「……………あぁ。

堂々と娘だと言えれば

美鈴はあそこに住む必要はないんだ。


俺が払うのは当然だろう。」


「……………ありがとう。」


私は社長を思いっきり抱きしめた。