居場所をください。




にしても…このあと余興やるやつら
本当にやりにくいだろ…けっこうなクオリティだった。

確実に、何ヵ月も前から準備してきたのが伝わってくるから、これで歌を適当に…とかだったらまじでかわいそうになってくるわ。


「ふぅー、緊張した」


そんな俺の心配をよそに、美鈴は戻ってきた。


「なぁ、さっき瑠樹になに言ってた?」


「あぁ、あれ?
ちょっと…」


そういって美鈴がすぐとなりに座る俺を手招きしたから美鈴に顔を近づければ


「クラスメイト全員分のメッセージがほしかったから、夏音のもちゃんと入ってるよって伝えたの」


超小声でそんなことを言った。


「結婚式で元カノの名前は絶対タブーだからさ」


苦笑いをしながら。
……でも、俺すら驚きを隠せない。

だって


「……会えたのか?」


あいつは覚醒剤をやってから、美鈴を目の敵にしてきたから…


「うん。
やっぱり昔とは違うけど、でも
笑顔で話せたから、いっかな。」


「……そか、よかったな」


「うん。
高橋も気になってただろうし、心配かけたから絶対夏音のもほしかったんだ。

夏音や高橋がどういう想いで私と友達になったかはわからないけど、でも私は確実に、
夏音がいなきゃ、高橋とは友達になれなかったから。


だから、夏音は絶対だったの。
ちゃんと話せてよかったよ。」


「そ。元気だったか?」


「うん。
今はね、更正施設で働いてたよ。
覚醒剤を使用して副作用に苦しんでる人を助けたり、覚醒剤が怖いものだと伝えたり

夏音なりに、覚醒剤と闘ってた。


私は夏音に謝ってほしかったわけじゃないからさ
笑顔で夏音に話しかけたら、夏音も笑顔で私の名前を呼んでくれた。
今は本当にそれで十分。

いろいろあったし、許せないこともあるけど
私は夏音の友達だから。」


「…そ。
また前みたいに一緒に遊べるようになるといいな。」


「うん。
あ、そう言えば貴也のファンは続けてるってさ~」


「どっちでもいいわ」