居場所をください。




「ふーーー、どうだった?」


「まぁまぁ」


「えー」


美鈴は席につくなり、とりあえず長曽我部さんに評価を求める。相変わらず。

そして長曽我部さんの評価も相変わらずの厳しさ。


「緊張した?」


俺もそう控えめに聞いたけど


「いやもうぶっ倒れるかと思ったね」


けっこうばっさり答えられ失笑。
だいたいこのあとまだ歌うだろ。歌のが緊張しねぇの?普通。








とまぁ、あっという間にお色直しとなり、あっという間に余興の時間となる。

ここのテーブルには俺、美鈴、長曽我部の他に岳斗たち4人が座ってるけど、7人もいるのに余興をするのは美鈴と長曽我部さんだけ。

長曽我部さんは美鈴のアシスタントだし。


まぁそういうのはやりそうもねぇもんな、こいつら全員。


「長曽我部さんはなにするんですか?」


「俺は今日はとくになにも。
美鈴に頼まれて、美鈴の後ろに映像を流したいっていうからその編集作業だけ。
データはもうスタッフに渡してあるし。」


「長曽我部さんに頼むだけですごいの作ってくれるしね!」


・・・相変わらず召し使いみたいだな。
長曽我部さんはそういうの専門なわけではねぇけど…きっとプロの技術を使ったんだろうし。

どんなんに仕上がってんだか。


「っていうか美鈴、声出してこなくていいのか?」


「うー、そうだった。緊張してきたー…
長曽我部さんも行くよね?」


「お前一人でいってぶっ倒れるなら行くわ」


・・・だろうな。
きっとまた美鈴が抱きつくんだろうし。