『高橋との出会いは第一高校でした。
当時の私たちは正直、仲の良い関係ではありませんでした。ですので、お互いに遠慮なく物を言う貴重な間柄となりました。』
お、おう。
確かにお前らは遠慮ねぇよな。少しは優しくしてやれよって思うことが多々あるわ。
『お互いに思っていることを素直に吐き出すことで、私たちは信頼関係を築き、いつの間にか私たちはお互いを必要とする間柄へと発展していきました。
そして、私が歌手になると決めたあの日から、私はたくさんのものを失いました。手に入れた新しいもの、そして失ったもの、ほとんどのものはその二択でした。
ですが、高橋だけは"変わらないもの"でした。
私が歌手になろうが、テレビに出ようが、高橋は私を特別扱いなんかしませんでした。その変わらない安心感が、私はとても好きです。
ですが、そんな高橋が変わった瞬間がありました。それは、高校を卒業し、高橋が大学生となったときのことです。
約束をしなくても学校へ行けば高橋に会えたことが嘘のよう、高橋は高橋のエリアに私を入れなくなりました。
高橋はそれを私のためだと言い、そしてそれを私も理解をしていました。
そして私もそれが高橋のためだと思ったからです。
今だから言えますが、あの頃は正直寂しくて仕方なかったのですが
これも、芸能人として生きていくことを選んだ私への宿命だと受け入れました。
なので、私は高橋がどんな交友関係を築いているのか、今日までほとんど知ることはできませんでした。
それほど、高橋は私と友達だということを周りに隠していました。
ですが、さゆりちゃんだけは違いました。』


