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長曽我部なんて名字、なかなかいない。
父の名前を聞いて確信したんだ。
この人は、私の兄だ。
「……………どうしていってくれなかったの?
どうして……………」
「言ったら、俺についてきたか?」
「え?」
「俺が美鈴をみつけたのは偶然だ。
お前の歌声に一目惚れしたのもな。
俺が咲かせてやりたいと思った。
そんなとき、お前に本当のことを言って
お前は俺についてきたのかよ。
お前はずっと一人で生きてきたのに
俺は何不自由なく生きてきたんだ。
本当のことを知ったら
あのとき俺が本当のことをいったら
美鈴は俺のことが憎くなったはずだ。
だから言わなかった。」
「……………じゃあ
私をここまでこさせたのも
罪悪感からだったの?」
「……………一部はそうだけど、違う。
俺はお前が五十嵐美鈴と知らなくても声をかけたんだ。
俺がお前を咲かせたいと言った言葉に嘘はねーよ。
………だけど、俺が幸せにしたいとも思った。
親父のせいで辛い思いばかりしてた美鈴を
親父が無理なら俺がって。
そういう思いも確かにあった。
じゃなきゃ、俺んちに住ませたりしてねーよ。
同情なんかでこの世界に入れたわけでも
美鈴の世話をしてたわけじゃねーよ。」


