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「美鈴~、いるかー?」
玄関を開けてそう声をかけても返答はなくて
とりあえず勝手にスリッパを出して寝室へ向かった。
「…長曽我部さん」
でも寝室へつく前にドアが開き、美鈴が顔を出した。
「あ、美鈴。体調悪いんだろ?
いいから寝てろよ。」
「うん、ごめん」
とりあえず美鈴をベッドに戻して、俺もベッドサイドへ座った。
「ダルいか?」
俺のその質問に、美鈴は目をつぶって頷くだけ。
顔色も全くよくなくて、本当にしんどそうだけど、おでこに手を当ててもやはり熱はない。
「……ごめん、吐く」
ぐったりしてる、かと思えば今度は急いでトイレへと駆け込んでいったから
俺もついていったけど、背中をさするしかできなかった。
「…ごめんね、ありがと。
吐いちゃえば少し楽になるんだよね。
またしばらくすると気持ち悪くなるんだけど。
……なにかにあたったかなぁ…」
すっきりしたのか、美鈴はとりあえず口をすすぎ、ソファへと座った。
「美鈴、これ試してみないか?」
さっき、俺がドラッグストアで買ってきたもの。
俺の予想が当たってればいいけど
「…妊娠検査薬か」
「可能性はあるだろ。
もし旅行のときに行為があったなら、ギリギリ反応が出るかもしれない。
本当はあと一週間待ってた方が確実だけど、今のタイミングで反応が出れば今後の仕事のことも考えやすいから。」
「……わかった。
やってみる。」
美鈴はそういって、またトイレへと向かった。
妊娠、か。
そしたら年末のライブは無理か。
ま、とりあえず発表前なだけよかったけど……
ただ悪阻にしては症状が出るのが早いな。


