それからも、やっぱり弘希と美鈴がうるさくていつもとは違う時間がここには流れていた。
そんな様子を、里美も優しく見守っていたり。
「はぁ、前に食べたときも思ったけど
里美さんって本当に料理上手ですね!」
「え?そう?ありがとう。」
「里美さんってこんなに料理が上手で、見た目も若くてきれいで
仕草とかも上品で絶対モテると思うんですけど
どうして長曽我部さんを選んだんですか?」
「おい。それは俺が不良品とでも言いたそうな表現だぞ。」
「だって里美さんと初めて会ったころは不良品だったんしょ?」
……それ言われたらなにも言い返せねーけど…
まぁかなりの不良品ではあったけど。確かに。
「ふふ、そうね~。なんでかなー」
「ほら、すぐには思い付かないって。」
「うるせーよ。」
ったく。つーか弘希の前でなんつー質問してんだよ。
「…でもさ、それは妹の美鈴ちゃんが一番よく知ってるんじゃない?」
「え?」
里美がそういうと、美鈴は少し顔が固まった。
けどすぐに動いて、かと思えば下を向き、
「……そんなことないですよ。」
そう、答えた。
「え?」
「だって、私は長曽我部さんが普段どんな感じなのか全然知りませんもん。
私が知ってる長曽我部さんはいつだって仕事のことでうるさいおじさんです。」
「だからおじさんじゃねーっつーの。」
「だってもう31じゃん。」
「中身の話だっつーの。」
「中身だけでいったらさらにおじさんだよ!
いつも怒ってるし。」
……なんて、美鈴は楽しそうに笑っていた。
あの固まったときの表情とか、下を向いたときの表情は一瞬だけで。


