居場所をください。




「ん~、めっちゃいいにおい!
ね、弘希!」


「ガキか。」


「照れんなよ~」


「はぁ?なにいってんの?」


そんなじゃれ合いをしながらダイニングテーブルへと来た。やっと。


「里美さん、突然すみません。」


「うちは全然大丈夫だよ。
おかげで弘希も久しぶりにすぐ帰ってきたしね。」


「え、弘希遊び歩いてるんですか?
ダメじゃん、すぐ帰んなきゃ。」


「だからガキ扱いしてんなよ。
遅くても9時までには帰ってるわ。」


……おう、お前はいつから我が家にそんなに馴染んだんだよ。
いつから里美とそんなに楽しそうに話せるようになったんだよ。


「……とりあえず座れよ。
美鈴も弘希も。」


「うん。
冷めない内に食べ終わらねば!」


そういって美鈴は弘希も引っ張って椅子に座った。
本当に、まじてこうやってみると美鈴と弘希が兄弟に見えてくる。

前、俺と出会ったばかりの頃は笑うことすらせず、声を張ることもほとんどなくて
なんにもできなくて全て俺に頼っていた美鈴も
……いつの間に、こんなに成長したんだろうな。


「父さんすわんねーの?」


「……あぁ、座る」


こうやって4人で飯食える日が
こんなに早く来るなんてな。