「……………ここでは…。」
「……………わかりました。」
私は田中さんと会社を出た。
そしていつもの喫茶店に入った。
「いらっしゃい。」
よかった。誰もいない。
貴也6時入りっていってたしね。
「コーヒー2つ。」
私はマスターにそう言い、ソファ席に座った。
「……………単刀直入に聞きます。
あなたは私の母ですか?」
「いえ、残念ながら違います。」
「……………そうですか。」
「あのネックレス、今持っていますか?」
「あ、はい。」
「よかったら見せていただける?」
「……………どうぞ。」
私はネックレスを渡した。
「……………懐かしいわ。」
「懐かしい?」
「えぇ。」
「……………説明していただけますか?」
「このネックレスは私が贈ったの。
あなたのお母さんに。」
「……………母をご存じですか?」
「えぇ。」


