居場所をください。




それから美鈴と俺んちに向かってるけど
……なんとなく、美鈴の機嫌が悪い気がする。


「……美鈴?」


「なに?」


「いや、別に」


返事は普通だし、話しかけても普通なんだけど
……なんか違う。

なんだ?さっきまでは普通だったけど
…俺、なんかしたか?


「へー、ここが新居?」


マンションへ到着し、駐車場に入るなりそういう美鈴。
そういえばここに連れてくるのもこれが初めてだ。


「そ。前より近いだろ。」


「でもまだ港区なあたりがさすがだね。
降りよ。」


……なんだかなぁ。
やっぱなんか機嫌悪い。

でも俺に当たんないってことは俺に苛ついてるわけじゃないのか?
…わっかんねー。


「入り口どこー?」


「こっち。
つーか荷物持つよ。」


「いいよ、別にこのくらい。」


あれ、大人になったな。
前までこっちから言わなくても持たせてきたくせに。

しかも俺が言わなくてもちゃんとサングラスまでかけて。
そういうの、前のマンションじゃ絶対しなかったくせにな。

…まぁいいや。


「何階?」


「23階。」


あとは一言も話さず、美鈴は俺の後ろをくっついてきた。
……また隣じゃないのが違和感。


「ここな。」