「あ、長曽我部さん遅い!!」
「俺も忙しいんだよ。
それよりさっさと行く。時間ねーんだから。」
あんなことを言った手前、俺も頑張って働かねーとなんだからな。
「あ、そういや佐藤から聞いたか?
主題歌の話。」
「うん、聞いたけど
どんな歌詞を書けばいいのかな~」
「佐藤から書類受け取ったけど、たぶん指定とかはほぼないとおもうけどな。
ただ時代の移り変わりがテーマだとはいってたけど。」
「ふーん?なるほど。
とにかく早めに書けばいいんだよね。」
「そういうこと。」
……に、しても
美鈴は本当に手がかからなくなったな。
前までは散々文句言ってたくせにな。
…こいつは、俺の厳しい指示も文句言わずに…ってことはなくても全部こなしてきたんだもんな。
嫌われてもいい、なんて思いながら嫌われ役やってんのに、こいつは俺のことは一切嫌ってないしな。
「……美鈴、仕事楽しいか?」
「え?なにそれ。
楽しくなきゃやってられないよ。
でも」
「……でも?」
「…長曽我部さんがいなくなったから、なんか物足りない。
散々怒られてきたから、それがなくなって物足りない。」
「……物足りないって…」
なんだそれ。
どんなやつなんだよ、お前は。
「……なら、今年もバンバン仕事回してやるよ。」
「えー!それはそれで恐ろしいね…」
一番嫌われたくないけど、一番お前が大切だから
……だからこれからも、胸はって嫌われ役やってやるよ。


