居場所をください。




「それと、アルバムのスケジュール。

レコーディングとMV、同時進行で

最後にジャケットをとるから。」


「はい、わかりました。」


「んー、とりあえず今日はこんなとこ。

あ、それと美鈴ちゃん

英会話始めない?これから海外も

行くこと増えるからさ。

これ、考えといてね。」


……でもねぇ、忙しいよ?私。

英会話より先に運転免許がほしいよ…


「忙しそうだな、人気者は。」


「うわ、隼也…どこから覗いてんの。」


「佐藤さーん、俺またMV出してよー。」


「隼也も忙しいからねー。

それにそれは俺が決めることじゃなくて

プロデューサーが決めることだし。

出たいならバラエティをもう少し控えるように

マネージャーに頼んでからじゃない?」


と、佐藤さんはそれだけ言って

また長曽我部さんのところへ戻った。


「隼也、そんな働いててさ疲れない?

毎日仕事じゃん。」


「俺の代わりなんて巨万(ごまん)といるんだよ。

……仕事断ったら、俺なんかすぐ消えそうで」


「まだそんなこと言ってんの?

そりゃバラエティはそうかもしれないけど

でも隼也は役者じゃん、大丈夫だよ。

だいたい働きすぎ。

そんな稼いでどうすんの。」


「まぁそうなんだけどさー…」


「そんな毎日テレビに出なくたって

隼也は消えたりしない。

だって隼也の演技ってすごいもん。

私、隼也相手ならキスシーンも怖くないよ。

長曽我部さんですら、あの寸止め

見破れなかったんだから。自信持ちなよ!」


「…おう。

じゃあまた美鈴とキスするために頑張るか~。」


「それは絶対違う。」