居場所をください。




「だから、本当は今でも

長曽我部さんに保護者でいてほしくて

長曽我部さんにいつまでも甘えていたくて

長曽我部さんが一番にしておきたいんじゃねーの?」


「え?」


え、そうなのか?私……


「俺と結婚して、長曽我部さんも結婚したら

どうしても美鈴は俺を頼るだろ。

美鈴はそれが寂しくて仕方ないんだよ、たぶん。

俺が頼りないとか、そうじゃなくて

もう、本当に長曽我部さんに頼れなくなる

前の自分から変わらなきゃいけなくなる

俺と結婚したことで、長曽我部さんはもう

プライベートのことでも

口出ししなくなるかもしれない。

兄貴として、見守ることに専念するかもしれない

その変化に美鈴は恐れてるんだよ、きっと。

美鈴の一番はずっと、長曽我部さんだったから。」


「……そっか。」


そっか…なるほど……

なんか、ちょっとスッキリしたってことは

やっぱりそれが正解なのかな…


「だから俺が一番じゃなくていい。

っていうか、美鈴の中で

俺も、長曽我部さんも、ついでに瑠樹も

全員一番なんだろ?

この時にはこの人、この時にはこの人って

俺ら3人、役割が違うと思うんだよ。

だから、俺と結婚したとしても

長曽我部さんに電球の交換頼んでもいいし

瑠樹と飯に行ったっていいから。

この先、子供ができたとしてもさ

そういうところは変わらなくていいから。

俺は、そうやって一人じゃなんにもできなくて

誰かに頼りまくってる美鈴も好きだし

長曽我部さんも瑠樹も

そういうところは変わってほしくない

って思ってるから。」


「……ありがと。

なんかスッキリしたかも。」


「長曽我部さんなんか

美鈴の成長具合がすごすぎて

まじでめちゃくちゃさみしがってて

気持ち悪いくらいだったし。

ツンデレにもほどがあるだろって。」


「はは、あの人はそういう人だから。」


「……行くか。」


「うん!」