居場所をください。




「美鈴ってさ、ちょっとしたことでも

すぐ長曽我部さんに頼るだろ。

エアコンの掃除とか、電球の交換、

水道とかガスとか電気とかネットとか

ライフラインで困った時とか

俺と住んでんのに、

とりあえず長曽我部さんじゃん。

米買いたいとか、たくさん荷物があるとか

朝早い日は起こして、とかまで。

俺と住んでんのに。」


「…まぁ…貴也に頼むのも

なんだか悪いかと思って…」


「だからな?長曽我部さんは

結婚するって、そういう細かなことは

俺がやらなきゃいけなくなる

っていうんだよ。」


「まぁ、普通なら貴也がやるでしょうね。」


「長曽我部さんはそれが

寂しくて仕方ないんだとさ。

兄貴として、できることは

なんでもやってあげたい性分だから

なんつーかさ、

美鈴の中の一番が俺になるのが

たぶん嫌なんだと思うんだよ。」


「……はぁ…」


「美鈴も、一緒なんじゃね?」


「え?私?

まぁ、そりゃやっぱ

長曽我部さんが結婚するって聞いたときは

寂しくて仕方なかったけど

今はちゃんと送り出せてるというか…」


「そうじゃなくて」


「へ?」