居場所をください。




「長曽我部さんが結婚するって聞いて

そのあと美鈴、寂しくて仕方なかったろ。

それもあって、なら俺がって思ったんだよ。

そんな理由かよって思うかもだけど

でも理由なんてどうでもいいっつーか

俺も美鈴も、早く大人にならなきゃ

って考えて生きてきたから

同世代よりもしっかりしてるし

俺も稼ぎがあるわけだし

今がタイミングなのかもって思って

俺も、美鈴と結婚するって真剣に考え出して

で、とりあえず長曽我部さんに相談。

別に社長でもよかったんだけど

美鈴のチーフマネで、保護者で

兄貴の長曽我部さんの意見が聞きたかったから。

そしたら案の定反対な。

仕事立場からも、兄貴立場からも。

仕事はまだわかる。

デビューして2年だし、男のファンもいるし

俺らまだ高校生だから。

でも兄貴立場からの理由を聞いたらさ

あの人、俺からまだ美鈴を奪うなよ

って言ったんだよ。」


「……は?」


「は?だろ?

俺も、は?って言っちゃったくらい。」


貴也は笑いながら

楽しそうにそう話した。