居場所をください。




それから着替えもして……


「おー、やっぱ可愛い子は

一段と際立つね。

あ、これが最後の振袖?もしかして。」


「はは、できれば成人式にも着たいです。

なので今のうちに予約しときます。

来年の成人式の日は絶対お願いしますね。」


「はい、喜んで。」


昨日ぶりに、私は振袖を着た。

ま、正月だしね。


「さてと、もうすぐ開店時間だし

人が増える前に早く帰りなよ。」


「はーい。

ありがとうございました!

あ、タクシー呼んでくれました?」


「もちろんですよ、お客様。」


歩きにくくなった私に、

手を添えてくれて

私を店の裏口まで連れていってくれた。


「もう外にいると思うから。」


そう言われ、裏口のドアを開けると

そこにはよーく見たことのある白い車。


かと思えば運転席からは

可愛い顔をして下りてくる男の人。


……どうしているんでしょうかね。


「昨日とはまた違って、綺麗だな。」


「……なんで貴也が来てるの?」


っていうかどうやって連絡した?

あの人が知り合いなわけないよね…?


「朝っぱらから長曽我部さん来てさ。

起きたら美鈴はいねーし

婚姻届は出しっぱなしだし

かと思えば美鈴が呼んでるから迎え行けとか

長曽我部さん、意味不明なこと言うし。

美鈴もちゃんと言えよ。

起きたら長曽我部さんしかいないし

どこ行ったかと思ったろ。」


「ごめんね。

ギリギリまで寝ててほしかったしさ。

でも、迎えにいく手間はぶけたや。」


「…ん、車乗れるか?」


「乗れないからお姫様だっこしてー。」


「はは、むり。」


うん、わかってた。

貴也細いもん。私を抱えるほど

筋肉はついてないよね。