居場所をください。




「五十嵐美鈴です!

よろしくお願いします!」


ドアを開けるなり、私は頭を下げた。


「うん、よろしくね。」


優しそうな声に、私は顔をあげた。


「曲聴いたよ。すごい上手だね。」


うわー、まじですか!

聴いてくれたんですか!!

テンション上がるよ!


「ありがとうございます!」


「実はCDも買ったの。

サインちょうだい。」



えぇぇぇぇ!まじですか!


「え、あ、はい…。」


やばい、震える。

練習しといてよかった。


私は不馴れなサインを書き、

沖野さんにCDを返した。


「ありがと。

ね、写真いい?」


「もちろんです!」


うわー、どうしよう!

にやける!近い!いい匂い!


「ありがと。ブログ載せていい?」


「はい!もちろんです!

私はFC(ファンクラブ)会員なので

必ず拝見します。」


「あ、そうなの?ありがと。

じゃあお互い頑張ろうね。」


「はい、失礼しました。」



私は沖野さんの楽屋を出た。