居場所をください。




「長曽我部さん!ちょっときて!」


盛り上がるのはいいんだよ。

みんなの準備がいいのはわかってる。

だけど主役がいないんじゃ

話になんないから

ちょっと雑だけど、貴也と入れ替わるように

長曽我部さんをこっちに呼んだ。

思いっきり嫌がる長曽我部さんを

手招きまでして。


「なに。なんか用?」


「用がなきゃ呼ばないわ。

……じゃあ次の曲にいきます!」


「は?」


長曽我部さんになにかを突っ込まれる前に

こうなったらもう強行突破だ。


「1..2..

1.2.3.4」


また小さくカウントダウンすると

今度はハンドベル隊が

私の作曲をした曲を演奏した。


「は?え、なに」


今度は完全に長曽我部さんが戸惑う番。

だけど、本当に短く作った曲だから

20秒ほどでその演奏はストップし、

そして静かになった途端、

モニターが先程放送されたテレビへと

切り替わった。


『どういう気持ちで作られたんですか?』


『…感謝の気持ちを詰め込んだ曲です。』


このライブが始まる前

放送された、あれだ。