「キース!キース!キース!」
ここの調子乗った男も
いつの間にかコールを始め…
「ま、いっか。」
なぜか貴也がなにかを吹っ切ったように
こちらに近づいてくる。
「……え?ちょ、待っ…
なにする気?」
「なにって、わかるじゃん。」
「ちょ、待って!
私は貴也と違って人前でするの
慣れてないんだから!」
「俺だって、好きなやつとするのは
慣れてねーけど。」
もう貴也はマイクなしで、
私が逃げられないように
左手で私の右手を掴み
右手は私の後頭部へ回し、
なんのためらいもなくキスをした。
「おー!!」
なんて会場が勝手に盛り上がってるけど
もう本当に本当に顔が熱い。
これはかなり恥ずかしい。
だってライブ中だよ?
生放送だよ?
まじでありえないって……
「……はぁー、顔熱い!」
「でも美鈴ちゃん、めっちゃ幸せそう~」
「ハル!もう、いい加減怒るけど!」
「とか言いつつ顔にやけてまーす。」
まじでなんなの!この人!


