「……いつまでたっても弱くて
ぎこちない笑い方しかできないけど
それでも私はずっと
貴也の横で笑っていたいです。
大人にならなきゃって必死になってる子供だけど
頑張って、良い女になるので
誰にも負けないくら「頑張らなくて良いよ。」
「……え?」
「もう、頑張らなくて良いよ。
無理して良い子にならなくても
無理して大人にならなくても
俺は絶対、美鈴から離れないから。
わがままいったり、甘えたり
すぐに怒ったっていい。
俺は絶対、見放したりしないから。
だから、俺と結婚してください。」
"頑張らなくていい。"
それは私も、そして沖野さんも
ずっとほしかった言葉。
もう捨てられないようにと
必死に頑張って生きてきた。
……それも、もう終わりにできそうだね。
「………はい。」
また泣きながら
私は首を縦に振った。
「泣きすぎ。」
マイクなしでそういう貴也は
決してテレビでは見れないくらい
甘く、優しい笑顔が輝いていた。
「手、貸して。」
そういって、私の左手薬指に
強い光を放つダイヤの指輪をはめた。
「もうひとつはまた家でな。」
「……ありがとう。」
もう泣きすぎて、
絶対にメイクはぐちゃぐちゃだ。
でも、それでも
今だけはいっぱい泣いていたかった。
いつだって笑うこと、笑顔でいることを
モットーでやってきたけれど
幸せも、絶頂を越えると
笑顔だけでは耐えられなくなるんだって
私は初めて知ったから。
こんなにも涙が出るんだって
私は初めて知ったから。


