「美鈴、ご飯食べてく?」
「あ、食べたい食べたい。
ってか手伝うよ。」
そういえばお腹すいてきたかも。
大してなにもしてないのに。
「ありがとね。」
「まぁどうせお蕎麦でしょ?
大晦日はいつもお蕎麦だもんね。」
「そ。
でも今年は奮発してかき揚げ付き。
だから美鈴はかき揚げ係ね。」
「うわ、面倒な方を頼んできたね。」
しかもかき揚げなんてあげたことないよ。
揚げ物やらないもん。
……できるかなぁ…
「美鈴、どう?彼氏と。」
「どうって言われてもね。普通?」
「ケンカとかする?」
「するよー。この前もしたしね。」
「そう。やっと美鈴も
ケンカするようになったのね。
そういう面倒なことは
ずっと避けてきたのにね。」
「はは、そうだね。
……なんかね、貴也は安心感あるんだ。
ちょっとした言い合いで離れていかないって
そういう自信があるの。
嫌われないかな、とか見捨てられないかな、とか
そういう不安がないから…」
「だからそんな気の抜いた表情になったのね。
いつもみんなを突き放すような
近づけないようなオーラ放ってたのに
今じゃ優しさのかたまりだもんね。
……よかったわね。」
「うん。貴也でよかったよ。
……本当に。」
本音をぶつけられる人で。
いつまでたっても弱い私でも
受け入れてくれる人で……


