「ありがとね、これ。」
「あ、うん。
そっちは洗剤だけど
こっちはフルーツとクッキーだから
よかったらみんなで。」
「はは、ありがと。」
「藍子とか栞奈は?いる?」
「あの二人ならついさっき出掛けていったよ。
あんたのライブに行くって言って。」
「え、うそ。」
「なのになんで美鈴がここにいるんだか。
まぁ上がりなよ。」
「あ、うん。」
入れ違いか。
ライブは22時からなのに
行くの早いなぁ。
ここからなら歩いても行けちゃうのに。
「ところでリフォームと
シェアハウスの件はどうなってるの?」
「手付金はもう払って、来年から。」
ふーん。
全部でいくらかかるんだろ。
シェアハウスなら私寄付できたのに。
まぁ早めに藍子たちと話して
寄付金考えないと。
税金はいくらくらいとられんのかな。
「……あれ、あれ?
優輝は?」
リビングに入っても
優輝の姿はなかった。
いつもならそこらへん走ってるのに……
「今日は面会の日でね。」
「……え?」
「朝、優輝のお母さんとお婆ちゃんが
迎えに来たのよ。
明日には優輝も戻ってくるけどね。
……まだ体の調子があれだからって
とりあえず一泊だけ。」
「……そっか。
よかったね、優輝。」
「まぁまだ小さいから
馴染みも早いしね。
あ、あんたにありがとうって伝えてくれって。
美鈴のおかげで芸能界もやめられたってさ。」
「それは絶対私のおかげではないけどね。」
でも、優輝が家族と過ごせるなら
私はそれだけで十分だよ。


