居場所をください。




「……私さ、施設育ちだっていうことを

後ろめたいなんて思ってないと思ってたのね。

親がいなくても夢は叶うとか、幸せになれるとか

親なんか関係ないって思ってたのね。

だけどさ、今思えば"親なんか関係ない"って

考えちゃってる時点で

ちょっと後ろめたさを感じてるんだよね。

だからきっと私の将来の夢が"家族がほしい"

なんだろうね。」


ママに育ててもらったことは誇りに思ってる。

だけど、それを誇りに思っていいのか

わからなくなってきている。

いい面ばかりを見せて、

親がいなくても幸せになれるだなんて

安易に見せてきたけど

それを見てきた大人たちが

子供を安易に捨ててしまったらどうしようと

いまさら不安に感じてきてるよ。

親のいない子供たちに少しでも

光を当てられたらって思っていたのだけれど…


「でも親がいないからこその夢だろうし

逆に俺らからしたら普通過ぎることを

美鈴がずっと望んできたことがわかるから

当たり前の生活に感謝するやつもかも

いるんじゃねーの?」


「まぁそうだったならいいんだけどさ。」


たまに、私のやり方に不安になる。

後悔なんてしてないんだけどさ。


ちっぽけな私に

伝えられることなんかないのかもしれないけど…


「でも少なくとも

美鈴のファンはそれをわかろうとしてんじゃん?

だからこそファンやってんだろうし。」


「……そうかな?」


「そういうファンは長くファン

やるだろうな、たぶん。」


「……だったらいいなぁ。」