居場所をください。




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「ただいま。」


会場が家から近い私は

あれからすぐに帰ってこれて

久しぶりに貴也とこの家で寝る。

久しぶりに明かりのついた自宅に帰ってきた。


「…ただいま。」


リビングのドアを開けて

もう一度帰宅を知らせると

貴也はキッチンからこちらを見た。


「おかえり。

飯食う?」


それはそれはいつも通りに。


「あ、うん。食べます。」


「風呂は?」


「あとで入る。」


「……それ、なに?」


「え?

あ、あぁ…レコード大賞最優秀賞いただきました。

そのトロフィー。」


「へー、おめでとう。」


「ありがとう。」


……なんていうか…いつも通りすぎて

逆にやりにくいなぁ……


「ごめんな。」


「え?」


それはそれはまた急に貴也が謝ってきた。


「…あ、ううん。いいよ。

私こそごめんね。

なんかピリピリしてたのかも。」


「忙しい時期だもんな。

……今日もすげー疲れてる顔してる。」


「はは、そうだね。

結構疲れたかも。」


「明日は?何時?」


「20時入りだって。

遅いよね。」


「じゃあ明日は遅くまで寝てろよ。

早く起きて飯作ろうとか掃除とか洗濯

しなくていいから。

ゆっくり休めよ。」


「…ありがとう。」


貴也だって疲れてるのにね。

でも、今回ばかりは甘えておこう。

16年先輩にね。