「到着。
美鈴はそこの椅子座って待ってろ。」
無事、サブステ下に到着して
用意された椅子に座ると
長曽我部さんはPHSをとりだし
誰かに連絡をした。
「準備完了。
時間通りはじめろ。」
と、それだけ。
「美鈴、今の気持ちは?」
こっちはもう緊張で吐きそうだというのに
高橋はのんきにそんなことを聞いた来て
じゃっかんいらっとする。
「集中してるから話しかけないで。」
マイクを握りしめ、
下を向いて目を閉じれば
しばらくして
『Welcome to COUNTDOWNLIVE
Angel's ladder
By misuzu Igarashi』
前に録音した私の声が流れ
一気に会場がみんなの声で包まれて
introductionが始まった。
「美鈴、スタンバイ。」
「じゃあ10秒だけ。」
そういって私は長曽我部さんに抱きついた。
最後のエネルギー補充だ。
「……よし、行ってきます。」
「おう。上げるな。」
長曽我部さんから離れて
セリにしゃがみ、
ステージに上がる前に
高橋が拳をこちらに向けてきたから
その拳に私の拳をぶつけてから
私は真っ暗なステージへと上げられた。
今日の一発目はfootpath。
ステージは真っ暗なまま
アカペラで歌い出す演出は
私のお気に入りだ。


