「美鈴ちゃんお待たせ!」
「あ、凛音ちゃーん!
今日はお願いね。」
「任せてよ。
ちゃんと泣けるようにしてきたから。」
「やったー。楽しみ。
じゃあ私がカウントするから
それに合わせて弾いてね。
私もそうするから。」
「うん、了解。」
ステージ袖に掃けはれていたピアノを
佐藤さん含め男性スタッフさんに
ステージまで運んでもらい、
凛音ちゃんはすぐにそこへ座った。
「音ちょうだい。」
とにかく基本の音でチューニング。
私の声をね。
それからカウントダウンをし、
凛音ちゃんのピアノを聴きながら
私も歌い始めた。
それはそれは綺麗な音と共に
私の涙も流れてしまいそうなくらい
幸せな気持ちが伝わってくる音だったから。
ピアノを弾く凛音ちゃんの顔も
昔と変わらず優しい顔をしていて
それもまた懐かしくて……
「……うん、いいね。」
そんな凛音ちゃんの音で歌うのが
本当に気持ちよくて
いつの間にか歌い終わっていた。
「美鈴ちゃんは?なにかある?」
その佐藤さんの問いに
「……ううん。
なんにもいうことない。」
完璧すぎてなにも答えられなかった。


