居場所をください。




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「おはよー。」


普通に考えて

あのお弁当を私が完食することはできず

普通に残してごちそうさま。

15分もかからず会場へとついたけど

私も、15分もかからずごちそうさまだった。


「とりあえず美鈴ちゃんは

ステージでピアノの子と音合わせね。」


「はーい。

よっ、と。」


私も身軽になったもので

客席側から登場したというのに

ステージにそのまま登れた。

当たり前だけど、佐藤さんも。


「凛音ちゃんは?」


「向こうにいるよ。

呼んでくるから美鈴ちゃんはここにいて。

あ、水そこね。」


はいはい、わかりましたよ。


ブブブブ……


そんなとき、私のスマホがなり、

届いたメールを開くと

亜樹んちおばさんからで、

私から沖野さんへ贈る

スタンド花の確認だった。


"OK。完璧なくらいきれい!"


見事な青いバラで作られたハートの形。

そして頼んだプレートには

"沖野卒業 おめでとう"

と、ちゃんと書かれていた。


歌手としての引退を

祝いたくはなかった。

だけど、結婚して歌手を引退する

という夢を掴んだ沖野さんを

どうしても応援したかった。


だからあえて"沖野卒業"にした。

入籍し、きっと本名はもう違う名字。


芸能界を引退すると

沖野さんは正式に"沖野"の姓を

名乗ることはなくなる。


その女としての幸せを掴んだ沖野さんを

ちゃんと祝福したかったんだ。